褥瘡について①

院長の水野です。

本日は褥瘡(じょくそう)についてお話します。

●褥瘡とは

 褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。一般的に「床ずれ」ともいわれています。

●褥瘡はなぜできるのでしょうか? 

 私たちはふつう、無意識のうちに眠っている間は寝返りをうったり、長時間椅子に座っているときはお尻を浮かせるなどして、同じ部位に長い時間の圧迫が加わらないようにしています。このような動作を「体位変換」といいます。
 しかし自分で体位変換できない方は、体重で長い時間圧迫された皮膚の細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなり、これにより「褥瘡」ができます。また皮膚の表面だけでなく、皮膚の中にある骨に近い組織が傷ついている場合もあります。

●褥瘡はどんな人がなりやすいのでしょうか?

 自分で体位変換ができず長期間寝たきりで、栄養状態が悪い、皮膚が弱くなっている(高齢者、排泄物や汗により皮膚のふやけがある、むくみが強い、抗がん剤やステロイドなど薬の副作用で免疫力が低くなっている)人が、圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返されている場合は褥瘡になりやすいといえます。

●褥瘡になりやすい体の部位はどこでしょうか?

 骨が突き出した部位は強く圧迫されて、褥瘡ができやすくなります。褥瘡のできやすい部位は、寝ているからだの向きや姿勢によって違ってきます。図1で褥瘡のできやすい部位をご紹介します。

 右の写真は実際に当院で褥瘡の治療を行った方の写真です。この褥瘡がどのように治っていくか次回以降また写真でご紹介していきます。

次回は褥瘡の治療についてお話します。

図1 褥瘡になりやすい部位
(日本褥瘡学会編:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック第3版. 照林社. 2015より引用)

90歳代、女性、右大転子部褥瘡4×2cm