薬じゃない高血圧治療について

 当院では2024年4月より高血圧補助アプリを用いたスマート降圧療法を導入しました。
 スマート降圧療法とは、”お医者さんと一緒”にスマートフォンを使って”6ヶ月間の生活習慣改善プログラム”に取り組む保険診療での新しい治療方法です。

 日本での高血圧症の有病率は高いです。一般的に年齢とともに高血圧患者の割合は増加し、男性では30代で20%、40代で30%が高血圧というデータがあります。また、女性でも50代から高血圧患者が増え始め、60代以降では50%を超えると言われております。

 当院にも健診で高血圧を指摘され来院される方が多くいらっしゃいます。その方が実際に高血圧かどうかは、2週間程度家庭血圧を測ってきていただき判断しますが、高血圧症であった場合降圧治療が検討されます。しかし、自覚症状がない方がほとんどのため、お薬の内服に抵抗のある方もいらっしゃいます。

 だからといって高血圧を放置してしまうと、知らない間に心血管病が進んでしまう可能性があります。高血圧がひどい方には比較的早期からお薬による治療を開始するようにしていますが、比較的若年で生活改善の余地がある方に関しては、まずは生活習慣の見直しを指導するようにしています。またおくすりを内服するにしても、生活改善は治療の基本となります。

 しかし生活改善を指導したとしても、短時間では難しく、また次にお会いするのは1ヶ月後であることから、徐々にその意識が薄れてしまって思うように改善できないという場合があります。

 そのような背景から、「高血圧治療補助アプリ®︎Cure App HT」を用いた新しい高血圧治療が注目されてきました。これはアプリを用いながら、患者様に生活習慣の改善に取り組んでいただき、なおかつクリニックからリアルタイムにその状況を確認しながら一緒に治療していくというものです。
 このアプリが日本で導入され1年が経ちました。個人差はありますがアプリを用いて生活改善を行うことで、血圧が下がることが報告されました。


◆治療対象としては以下のような方々になります。
・高血圧の診断があり、すでに降圧薬を内服している方
・高血圧の診断があり、まだ降圧剤を内服していない方。もしくは、内服治療にまだ抵抗がある方。
・高血圧の診断はないが、最近血圧が高く気になっている方


◆保険診療での治療のため、費用が6ヶ月間かかります。
1ヶ月目・・・2,490円+420円
2ヶ月目〜6ヶ月目・・・2,490円/月
※3割負担の場合の金額です。
※診察代、処方箋代、検査代など通常かかる費用とは別になります。      ※2024年6月の診療報酬改定で費用が変わる予定です。


◆6ヶ月間の治療プログラムの流れ
Step1.知識の習得
2週間かけて高血圧治療に必要な知識習得を、アプリ内で動画視聴を行なってもらいます。

Step2.行動の実践
知識習得を行ってもらった上で、ご自身で決めた目標に向けて生活改善の実践を行なってもらいます。医師と目標を共有し、取り組んでもらいます。

Step3.行動の習慣化
Step2.で実践した行動を習慣化してもらい、取り組みを継続してもらいます。
保険診療としては6ヶ月で終了しますが、アプリ使用の継続はできます。
6ヶ月でアプリ使用を中止するのではなく、その後も継続して医師と一緒に高血圧治療に取り組んでいただきます。

※利用開始には医師による処方が必要となるため、ご興味ある方・利用をご希望される方は診察室でお声がけください。