外科・血管外科のイメージ

当院の外科では、表在(体の表面や表面近くに生じた)の擦り傷や切り傷、やけどなどの応急処置、トゲや金属片、ガラス片などの異物の刺入、粉瘤や脂肪腫など良性腫瘍の切除の治療等を行っています。(血管に関わる各種疾病に関しては、血管外科にて診療を行います)。

手術などが必要と判断した場合は、専門の医療機関をご紹介し、術後のフォローなども連携して行っていきます。すでに大きな手術を受けた患者さまで、自宅の近くで術後のケアを受けたいという方も、お気軽にご相談ください。当院では、他院での手術後の創傷管理も行っています。

当院の外科で扱う主な疾患

  • ケガ(創傷)
  • 皮下腫瘤などの皮膚疾患
  • 陥入爪
  • うおのめ・たこ など

ケガ(創傷)

創傷としては、転ぶなどして表皮・真皮という皮膚の浅い部分がすりむける「擦過傷(擦り傷)」、ナイフやカミソリ、ガラス等の破片など、鋭利なもので生じた「切創(切り傷)」、鈍い物体がぶつかってできた「挫創」、先端のとがったもので刺してしまったことにより生じる「刺創」、ペットなど動物に咬まれた「咬傷」などがあります。

切創などで出血が見られる場合、まず止血することが重要です。傷口を清潔にし、医療用テープ等を用いて圧迫して止血します。擦過傷に関しても、傷口を清潔にして、傷口が乾かないよう、フィルムなどの被覆材を当てます。擦り傷などで傷口に砂利やガラス片が残っている場合は局所麻酔の上、ブラシ等を用いて確実に取り除くこともあります。

汚れたもので切ったり刺したり、あるいは汚れた場所で転んで擦り傷を生じてしまった際は、感染症のリスクがありますので、抗菌薬を使用する場合があります。特に咬傷の場合、動物の口腔には細菌が多く存在しており、破傷風などの感染症を引き起こさないようにする注意が必要です。また狂犬病や蛇の毒などの危険がある場合は、予防注射や血清の投与も行う必要があります。

良性腫瘍(皮下腫瘍)

皮膚表面や皮下にできる“おでき”や“しこり”は、その多くが良性腫瘍で、その代表的なものが粉瘤と脂肪腫です。どちらも特に治療をせず、様子を見ていても問題ありませんが、大きくなって見た目が気になったり、体に負担になると考えられる場合は切除します。

粉瘤はアテロームとも呼ばれるもので、1~2cmくらいの円形状に盛り上がり、中央に黒い点状の穴があって、強く推すと臭いカスのようなものが排泄さます。10cm以上に大きくなって、見た目が悪くなったり、神経を圧迫するなどの障害が現れたりした場合は、局所麻酔を施し切除します。また細菌等の感染により炎症性粉瘤となり、化膿が著しい場合は、抗生物質の投与や、切開して膿を出す治療などを行います。

脂肪腫は首や肩、背中などに発生することが多い皮下脂肪の層に発生する「脂肪の塊」で、痛みを伴わず、触ってみると柔らかいしこりのように感じます。次第に大きくなることがあり、経過観察をしながら、患者様ともご相談のうえ、適切なタイミングで、局所麻酔による外科的手術も考えます。ある程度大きくなった場合、悪性の脂肪肉腫などと区別するため、エコー(超音波)などの検査を行うこともあります。

血管外科

血管外科とは、心臓と脳の血管を除く、全身の血管に関わる疾患の診療を行う外科です。当院の院長は、心臓血管外科学会認定の専門医、日本脈管学会認定脈管専門医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医などの資格を有し、また大学病院等にて、血管に関わる様々な疾患に関し、豊富な症例実績を持っており、地域にあっても、身近でより専門性の高い診療を受けていただけることを目指しています。

血管外科が扱う疾患の種類としては、動脈瘤など、血管が拡張して破裂する危険性のあるものや、逆に閉塞性動脈硬化症など、閉塞・狭窄して虚血に陥るものなどがあり、当院の血管外科では、主に以下のような疾病について、診療を行っています。

当院で扱う主な血管疾患

・下肢静脈瘤 ・血栓性静脈炎 ・うっ滞性皮膚炎 ・リンパ浮腫 ・静脈血栓症 ・動脈瘤 ・末梢動脈疾患(下肢閉塞性動脈硬化症)・下肢浮腫 など

動脈に関わる疾患は、急変して命に関わり、緊急を要するものが多いため、早期に発見し、治療を開始していくことが大切になります。当院では地域にあって、早期発見を目指すとともに、経過をしっかりとみていくことで、変化があった際は速やかに対応できる専門医療機関にバトンタッチできるよう努めています。

また静脈に関わる疾患は、緊急性は比較的低いものの(上行性血栓性静脈炎など緊急を要するものもあります)、身近な地域で専門的な診療を受けられる環境が少ない傾向にあります。当院では、遠くの病院まで行かずとも、専門性の高い治療を受けていただけることを目指しています。

以下のような症状がありましたら、一度ご受診ください。

  • 脚にだるさを感じる
  • よく脚がつる(こむら返り)
  • 歩くと脚がしびれる
  • 足が冷たい
  • 脚が痛くなり長く歩けない(しばらく休むと歩けるようになる)
  • 脚にむくみがある
  • 脚に静脈瘤がある(血管が膨らんでいる)
  • 足の皮膚が赤くなったり、黒ずんだりと変色してきた
  • 足に潰瘍ができている  など

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤は、足の血管が浮き出る・こぶ状に膨らむ・蜘蛛の巣状に血管が浮き出るなどの症状が特徴です。日本人の10人に1人、出産経験のある女性の2人に1人が患っていると言われるほど多くの方が悩まれている身近な足の病気です。一般的には、女性に多いとされていますが、立ち仕事に従事されている方々では、性別に関係なく多く見られます。 下肢静脈瘤はすぐに命の危険を伴う病ではありませんが、放置した結果、状態が悪化してしまうこともあります。そのため専門医による適切な診断と、その時々に応じた様々な治療が必要とされます。

下肢静脈瘤の原因

下肢静脈瘤のイメージ

足の静脈には重力に逆らいながら血液を下から上と持ち上げていくための「逆流防止弁」という特殊な構造があります。
下肢静脈瘤の患者様さんは様々な理由によって、弁が正常に閉じなくなっています。それにより、せっかく心臓まで持ち上がった血液が重力に負け、再び足の方に落ちていき、足の静脈にどんどん血液が溜まってしまいます。「逆流防止弁の機能不全」は、一度生じてしまうと、内服薬や日常生活の改善のみで治癒することはほとんどなく、適切な処置を行わなければどんどん悪化していきます。
静脈内で血液が渋滞(医学用語ではうっ滞といいます)すると、静脈は徐々に太くなっていきます。そして、静脈が太くなると弁が引き伸ばされ、閉じが悪くなります。すると血液の逆流が一段と増え、血液の渋滞がさらに悪化する、という悪循環に陥ってしまうのです。

こうして年月とともに静脈は少しずつ太くなり、ときにはクネクネと曲がるようになり、見た目としても足の表面にある静脈がボコボコと膨らんできます。
下肢静脈瘤では主に足の筋肉の表面側にある大伏在静脈と小伏在静脈(伏在静脈系)の逆流防止弁が機能不全を起こすため、これらの静脈に血液が溜まりやすくなります。 弁が正常に閉じなくなる主な原因には下記のようなものが挙げられますので、ぜひ参考にしてください。

  1. ①立ち仕事(デスクワーク)
  2. ②妊娠・出産
  3. ③遺伝
  4. ④加齢
  5. ⑤肥満
  6. ⑥便秘
  7. ⑦性別
①立ち仕事(デスクワーク)
下肢静脈瘤の原因:立ち仕事イメージ

調理師・美容師・理容師・警備員・学校の先生など、歩き回らず同じ場所に長時間立ちっぱなしのお仕事をされている方は、足の筋肉によるポンプ作用が働きません。そのため足の静脈に血液がたまりやすくなり、逆流防止弁に負担がかかって閉じなくなってしまうのです。
また逆に座ったまま動かない姿勢が続くデスクワークの方も同様に足の筋肉によるポンプ作用が働きません。コロナ禍で在宅ワークが多くなり、1日のうちほとんど動かない、動いてもほんの僅か、という状態が続いている方は、下肢静脈瘤になるリスクが高いとされています。

②妊娠、出産

妊娠経過中の女性は、おなかの中で大きくなった子宮により静脈が圧迫されます。圧迫による足の静脈の圧力の上昇や、出産時の力みなどが原因で逆流防止弁が壊れてしまうことにより下肢静脈瘤になりやすいと言われております。
出産後には元に戻ることが多いですが、伸び切ったゴムのように太くなった静脈が元に戻らず、そのまま静脈瘤ができてしまう方もいらっしゃいます。一般的には2人目の妊娠から静脈瘤が目立つようになることが多いようです。

③遺伝

身内の方に下肢静脈瘤の人がいる場合、下肢静脈瘤が遺伝するということがあります。これは遺伝的に逆流防止弁が弱くなっていることが考えられます。両親がともに下肢静脈瘤だった場合は、90%の確率で子供に遺伝し、どちらかの親が下肢静脈瘤だった場合は、男性25%、女性60%の確率で子供に遺伝するというデータがあります。

④加齢

お年を召されるにつれて、運動量が低下し、足の筋肉量も低下していきます。それに伴い足の筋肉のポンプ作用が機能しにくくなり、静脈内に血液が溜まりやすくなります。また加齢により逆流防止弁そのものが弱くなっていきます。こうした理由で加齢は下肢静脈瘤の一因となります。

⑤肥満

あまり強い要因ではありませんが、高度の肥満女性は静脈瘤になりやすいというデータがあります。

⑥便秘

排便のときにいきむと腹圧がかかります。便秘の方は高い腹圧がかかるため、静脈弁に必要以上の負担がかかってしまうことがあります。

⑦性別

女性は女性ホルモンのプロゲステロンが月経周期に合わせて増加します。このホルモンは静脈壁と静脈弁を伸びやすくさせるため、女性のほうが静脈瘤になりやすいと言われております。

下肢静脈瘤の自覚症状

①足の血管がぼこぼこしている

下肢静脈瘤は、時間経過とともに足の表面の静脈に血液が溜まっていき、どんどんと太くなって目立つようになります。特に女性の場合は、スカートが履きにくいなどの美容的な問題で悩まれている方も多いです。

②足がだるい、疲れやすい

逆流防止弁が機能しなくなることで心臓に戻るはずの血液が足に停滞し、血液中の老廃物や疲労物質も蓄積されます。夕方になると足が疲れだるさを感じる方が多いです。長年足のだるさが続くと、当たり前になってしまい下肢静脈瘤の症状と自覚できていないこともあります。

③夜中に足がつる(こむら返り)

下肢静脈瘤が原因で起きるこむら返りは、夜寝ている時に起きることが多いです。足の筋肉に痙攣が起きて固くなり、強い痛みを感じます。

④足がむくみやすい

足に血液が停滞することで、余分な水分が静脈周りにしみ出てむくみが生じます。下肢静脈瘤によるむくみは、くるぶし周辺や足首の後ろ側など膝下に現れるのも特徴です。また足のむくみは心臓病や腎臓病などその他の病気が要因となり起きる場合もあります。ふくらはぎ全体がパンパン、足の甲までむくんでいるといった場合は下肢静脈瘤以外の病気の発見にも繋がります。

⑤足の皮膚が黒ずんだり、かゆみがある

下肢静脈瘤により、足の血流が滞りやすい状態が続くと、足の皮膚そのものにも炎症(うっ滞性皮膚炎)を起こすことがあります。皮膚に色素沈着が起きます。皮膚の血液循環が悪くなることで炎症を起こし、湿疹のように赤みがでます。この状態が進行すると、皮膚が黒ずんで硬くなったり厚くなることもあります。その程度によっては、かゆみや痛みなどの症状が出てきます。

下肢静脈瘤のタイプ

伏在型静脈瘤

足の表面にある伏在静脈の弁不全によって起こる静脈瘤です。足の内側にある大伏在静脈と、膝の裏側にある小伏在静脈に分かれます。伏在静脈の静脈弁が壊れて血液が足に滞ることで発症します。足がだるい、疲れるといった症状があり、血管がボコボコと浮き上がります。

側枝型静脈瘤

伏在型静脈瘤から枝分かれした短い静脈が拡張した静脈瘤です。範囲が狭く細い血管で起こるため症状が出づらく見た目ではわかりにくい場合もあります。

網目状静脈瘤

皮膚直下にある細い静脈が拡張してできた静脈瘤です。
青く細い血管が見えるのが特徴で、網の目にみえるため網目状静脈瘤と言われています。血管がぼこぼこと浮き上がることはありません。

くもの巣状静脈瘤

直径1mm以下の細い静脈が拡張し、血管がくもの巣のように広がって見える状態です。網目状静脈瘤と同様に血管がボコボコと浮き上がることはありません。

下肢静脈瘤の治療方法

静脈瘤の治療方法は大きく分けて2通りあります。

  • A:症状を改善させる治療
  • B:見た目を改善させる治療
A:症状を改善する治療
A-1 圧迫治療

「弾性ストッキング」という、足全体を外から圧迫する靴下を着用することで、下肢静脈瘤の進行防止、症状緩和をする方法です。
弾性ストッキングは非常に圧迫感が強く、履き方にも一工夫が必要ですが、一度履き慣れてしまうと、着用している間は非常に足が軽くなり、立ち仕事なども行いやすくなります。当院ではストッキング指導の資格を持った看護師(弾性ストッキングコンダクター)が常駐しておりますので丁寧に履き方、脱ぎ方を指導させていただきます。

圧迫治療イメージ

圧迫治療は気軽に始められ、むくみなどの症状改善が見込めるのがメリットですが、根本的な治療ではないので、靴下を脱いでしまうと元通りの下肢静脈瘤の状態になってしまいます。そのため根治させるには下記の治療が必要となります。

A-2 外科治療

血液の逆流を生じている大(小)伏在静脈静脈をそのままにしておくと、血液は流れ込みます。逆流防止弁が働かない静脈に流れ込んだ血液は逆流してしまいます。
だったら、このダメな静脈を通行止めにしてしまおう、あるいは撤去してしまおう、というのが外科治療のコンセプトです。

  • ダメな静脈を撤去する
    → ①ストリッピング手術
  • ダメな静脈を通行止めにする
    → ②カテーテル治療
①ストリッピング手術

逆流防止弁がダメになり、血流が滞ってしまった静脈を、特殊なワイヤーで抜いてしまう手術です。「ストリッピング手術」は病的な静脈を取り去ってしまうので、再発する確率が低く、治療効果の高い治療法です。100年前から行われてきた治療法で、カテーテルによる血管内焼灼術が行われる前は、この手術方法が下肢静脈瘤の一般的な手術方法でした。
小さな傷で手術を行っており、さほど目立ちませんが、多少傷跡は残ります。術後、アザが見られますが2~3週間ほどで消えていきます。
手術は下半身麻酔や大腿神経ブロックといった足全体の麻酔で行われることが多く、施設によっては2~3日の入院が必要となります。

②カテーテル治療
a血管内焼灼術

下肢静脈瘤治療における代表的な手術であり、伏在静脈系で施行される術式です。
カテーテルを静脈の中に挿入し、内側から焼いて血管を塞ぐ手術です。
再発率はストリッピング手術と同等ほどに低く、また足には小さな針孔ほどの傷しか残らないため、体への負担も軽く、美容的にも非常に優れた術式となります。低侵襲で、体への負担が少なく術後すぐに歩行可能です。
血管内焼灼術にはレーザーカテーテルを使用する方法と高周波カテーテルを使用する方法がありますが、当院ではレーザー治療を行っております。

レーザーカテーテルイメージ1 レーザーカテーテルイメージ2 レーザー治療イメージ
b血管内塞栓術

血管内焼灼術に代わる次世代の治療法として2019年12月に日本でも保険治療として認められた手術で、主に伏在静脈系で施行される術式です。
カテーテルを静脈の中に挿入し、内側から接着剤を注入して血管を塞ぐ手術です。
欧米諸国ではすでに広く行われている治療法で、治療成績も良好です。
術後に弾性ストッキング着用の必要もなく、術後すぐに歩行可能です。

カテーテルイメージ カテーテル治療イメージ
B:見た目を改善する治療
B-1 硬化療法

硬化剤(ポリドカスクレロール®)というお薬を注入して、外から圧迫をすることで静脈を閉塞させる治療です。
小さな静脈瘤(くもの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤)、側枝型静脈瘤、軽度の伏在型静脈瘤、陰部静脈瘤、再発静脈瘤、出血性静脈瘤に対して適しています。
治療は5分から15分程度で終わりますが、静脈瘤が広範囲にわたる場合は複数回に分けて行うこともあります。
施術時間が短く比較的簡単な治療法ですが、場合によっては薬剤の注入部位に色素沈着(皮膚が茶色に変色します)が見られることがあります。

B-2 表在静脈瘤切除術

足の表面の比較的太いボコボコした静脈の一部分を切除する手術です。
見た目を早くきれいにしたい場合や、より確実に表面のボコボコした静脈瘤を無くしたい場合など、伏在静脈瘤に伴う表面のボコボコした静脈を処理するときに行います。
ほとんどの場合、伏在静脈瘤の治療の時に同時に行われます。
局所麻酔下に皮膚に2~3mmの切開を加えて、直接これらの静脈瘤を取り除いてしまいます。

下肢静脈瘤の治療費用

治療内容 3割負担 1割負担
初診 相談のみ 約1,000円 約300円
検査 超音波検査 約1,800円 約600円
治療 硬化療法 1回:6,000円 1回:2,000円
血管内治療 血管内焼灼術(レーザー治療) 片足 約35,000円 約12,000円
血管内塞栓術(グルー治療) 片足 約45,000円 約15,000円
通常手術 ストリッピング手術(日帰り手術) 片足 約35,000円 約12,000円

弾性ストッキングを購入していただく場合は約3,000円~5,000円頂戴します

高額療養費制度をご利用いただけます。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月で上限額を超えた場合に、その超えた額を支給する制度です。上限額は年齢や所得に応じて定められております。

下肢静脈瘤セルフチェック

  • 太ももや膝の裏の毛細血管が目立つようになってきた
  • 足のすね・膝の裏やふくらはぎの血管が浮き出てきた
  • 寝ている時に足がよくつる
  • 足が重くてだるい
  • ふくらはぎから下がほてる
  • 夕方になると足がむくむ
  • 膝から下の湿疹・かゆみがある
  • 足のくるぶしの皮膚が茶色くなってきた
  • 足の皮膚が硬くなってきた
  • 両親のどちらかに下肢静脈瘤がある

上記のうち2つ以上あてはまる方は下肢静脈瘤の可能性があります。

閉塞性動脈硬化症

動脈硬化が進行して血管が狭くなり、閉塞してしまう病気です。主に下肢(足)の血管で発症することが多く、その場合、下肢閉塞性動脈硬化症と呼ばれることもあります。症状としては歩行障害があり、特に「間欠性跛行」と呼ばれる症状が見られます。これは、しばらく歩くと十分な血液が供給されないため、痛みが現れますが、休憩すると徐々に血液が供給されるため痛みが改善し、また歩けるようになる、というものです。

このほか足のしびれや冷たさなどの症状があり、進行すると安静時にも現れるようになります。また、さらに悪化すると傷が治りにくい、ちょっとした打ち身でも傷が大きくなる、などの症状が現れ、足の皮膚の色が黒ずんで腐ってくることもあり、最悪の場合、足を切断しなければならなくなることもあります。

検査としては足の血圧測定や超音波(エコー)検査、下肢動脈造影検査等を行い、診断します、治療としては、まず原因となっている動脈硬化を引き起こしている高血圧や糖尿病の治療を行うことが必要になります。また間欠性跛行がある場合では運動療法を行い、血流の改善を図っていきます。さらに血管を拡張したり、血栓ができにくくするための薬物治療も行います。

病気が進行してしまい。血管狭窄が悪化して十分な血流が戻らない場合は、カテーテルを挿入してステントステントという筒状の金網を血管内に留置するという治療や、バイパスを造る手術を行います。下肢閉塞性動脈硬化症では潰瘍を引き起こす場合も少なくなく、その際は降雪物質の投与なども行います。

下肢深部静脈血栓症

深部静脈血栓症とは、足から心臓へと血液を戻す血管(静脈)に血の塊(血栓)ができて詰まってしまう病気です。ふくらはぎや足の表面にある静脈に血の塊ができても大きな問題とはなりにくいのですが、下腹部や太もも、膝の中心を走る深部静脈に血の塊ができた場合、重症となってしまいます。血の塊が足の静脈から心臓や肺に向かって流され、肺の血管に詰まった場合、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)を引き起こします。

深部静脈血栓症の症状

片方の足全体やふくらはぎが急に赤黒く腫れあがり、痛みがあらわれます。数日をかけてゆっくりと進行することもあります。放置した場合、腫れがつづいて皮膚が茶色く変色したり、崩れて潰瘍となります。肺塞栓症(エコノミークラス症候群)になると、呼吸が苦しくなり、胸が痛くなって、最悪の場合は生命を落としてしまいます。最近に手術を受けた方、ガンにかかっている方、これまでにも深部静脈血栓症を起こしたことのある方、寝たきりの方、避妊薬などホルモン剤を飲んでいる方などは、深部静脈血栓症になりやすいことが知られていますが、はっきりした原因が分からないことも少なくありません。

深部静脈血栓症の検査と診断

血栓症のスクリーニング(ふるい分け)検査としては、Dダイマーと超音波検査が簡便で有用です。

Dダイマーは血栓中のフィブリンという物質が溶解された際に生じる物質の一つです。Dダイマーの濃度が高いと、近い過去に血栓が存在して溶解したことを示唆します。Dダイマー検査が陰性であれば、DVTの可能性は低いと考えられます。ただ、Dダイマーは肝臓の病気や外傷、妊娠など他の病態によっても上昇する可能性があるため、陽性の結果が出ても診断にはさらなる検査をする必要があります。

超音波検査では、身体を傷つけずに静脈内の血栓を直接描出することができます。さらに、静脈の異常な圧縮率を証明するか、静脈血流の障害を証明することで、血栓を同定することができます。超音波検査は大腿静脈と膝窩静脈の血栓症については感度(正しく陽性と判定する確率)が90%を超え、特異度(正しく陰性と判定する確率)は95%を超えます。

他の画像診断として、造影CT検査はMRV(MR静脈造影)検査も有用です。当院ではCTやMRI撮影はできないので必要な場合は適切な施設へご紹介させていただきます。

深部静脈血栓症の治療

深部静脈血栓症の治療には、急性期(発症から間もない時期)の場合 ヘパリンと呼ばれる点滴治療、ワーファリン®の内服、最近では新しい抗凝固薬であるDOAC(リクシアナ®、イグザレルト®、エリキュース®が現在保険適応)が用いられています。

血栓のある場所や程度によっては、下大静脈フィルターや血栓溶解術なども必要となります。これらの治療は通常入院で行うため、必要時は適切な施設へご紹介させていただきます。

慢性期の場合でも、静脈血栓の再発予防のためワーファリンやDOACの内服治療(3か月程度)が行われます。

弾性包帯や弾性ストッキングによる圧迫療法も必要な治療法です。
そのほか水分補給や下肢の体操なども有効な方法です。

フットケア

① 巻き爪、陥入爪

放って置くと爪が皮膚に喰いこんでしまい痛くなって、歩けなくなる方もいらっしゃいます。また、壊疽のきっかけとなることもあるので、糖尿病・透析の方は特に気をつける必要があります。
治療方法はいろいろありますが、当院はできるだけ爪を切らずにする方法を推奨しており、その中でも主にVHO/3TO治療法(以下参照)を行います。この治療は自費治療(保険適用外)となります。

VHO/3TO治療法について

専用ワイヤーによる巻き爪矯正治療です。人間の自然治癒力を活かした方法であり、麻酔の必要もなく、受けられる方にとって負担の少ない施術方法です。
治療期間は約12ヶ月(1年)で平均4~6回の付け替えが必要になることが多いです。
ただし、爪の厚さ・伸び方・巻き具合などに個人差があるため、ワイヤーの付け替え時期は異なることがあります。
VHO法についてさらに詳しいことをご覧になりたい場合はこちらを、ご参照ください。

受診回数 内容
初回 VHO施術:(1部位につき)
13,200円(税込)
2回目 1ヶ月チェック 再診料のみ:
1,100円(税込)
3回目以降 VHO付け替え:(1部位につき)
11,000円(税込)
巻き爪治療詳細

② タコ(胼胝)・魚の目(鶏眼)

放って置くと痛みが増して、歩けなくなる方もいらっしゃいます。特に糖尿病・透析の方は、タコの中が膿んでしまうこともあるので要注意です。
処置は傷の治療や、オーダーメイドのインソールを作成や、靴や室内履きなどの提案をして、できるだけ快適な生活ができるようにします。

③ インソール、フットウェア外来(木曜日午後のみ)

インソールは足の骨格と正しく支持して、足の骨格・筋肉をより効果的に機能させます。人は年齢と共に筋肉が少なくなり、骨を支える働きも低下していきます。
そして、体重を支える足に変形が現れ、外反母趾や扁平足、または腰痛や膝痛になってしまいます。インソールを使用することで、体重を足の裏全体で支えるようになり、足への負担が減ります。
あなたの足にぴったりのインソール、フットウェアなどを提案させていただきます。

【インソール、フットウェアで改善が期待できる病状】
外反母趾、タコ・ウオノメ、O脚、膝痛、腰痛、扁平足など

リンパ浮腫

① リンパ浮腫とは

リンパ管の流れが悪くなることで起きる手足のむくみのことです。
心臓からおくりだされた血液は身体へ染みわたった後に、静脈とリンパ管を通って心臓へと戻ります。このリンパ管は、水分やタンパク質の成分を一日で約2〜3リットルを運ぶといわれています。
しかし、なんらかの障害によりリンパ管が機能低下、もしくは機能以上に液体が存在すると、心臓まで運びきれない部分がでてきます。これが腕や足に溜まり、むくみ(浮腫)となると、リンパ浮腫と呼ばれるようになります。

② リンパ浮腫の原因

リンパ浮腫は、大きく一次性と二次性に分けられます。

a.一次性リンパ浮腫

生まれつきリンパ管の機能が弱いことでおこります。一次性の場合、幼少期からむくみがでる方が多いですが、30歳代以降でむくみがでる方もいらっしゃいます。

b.二次性リンパ浮腫

原因は、がん、がんの治療、手術や怪我などによるリンパ管・リンパ節の切除、放射線治療、感染症、炎症性疾患、肥満、薬などが挙げられます。
リンパ浮腫はがんの治療と密接に関係しています。たとえば、乳がんの手術の際に、転移しやすい腋窩リンパ節も一緒に切除した場合、その腕のリンパの流れが悪くなりリンパ浮腫が生じやすくなります。また、子宮がんを手術する際に、周囲のリンパ節をとると、足から戻ってくるリンパの流れが悪くなり、足にリンパ浮腫が生じやすくなります。

③ リンパ浮腫の症状

足や腕などのむくみが起こります。片側だけ腫れることもあれば、両側が腫れることもあります。乳がんの術後では片側に起きますが、子宮がんの術後では片側のみの場合と両側の場合があります。
重さやだるさを感じ、ひどくなると日常生活に支障をきたすこともあります。また、皮膚が弱くなり、皮膚に潰瘍や感染症などの合併症を起こすこともあります。  リンパ液の流れが悪くなっているため、虫刺されや小さな傷からばい菌が入り腕や脚全体に炎症が広がり、蜂窩織炎(ほうかしきえん)を起こしてしまうことがあります。

④ リンパ浮腫の治療

リンパ節を切除したためにリンパの流れが悪くなっているケースでは完治は難しく、むくみを減らし、日常生活に支障が出ないことを目標に治療を行います。治療としては、複合理学療法としてストッキングによる圧迫療法を早期から始めることが重要です。
重症度や状態によっては、リンパ液の流れを改善するためのリンパ管静脈バイパス手術が必要となることがあります。手術が必要な場合は適切な施設へご紹介させていただきます。